災害時、都市文明が壊滅して電気を自給自足できる体制の人に「えー、まさか」のアイデアが「災害時こそ優雅にパンを焼いて暮らす」ことだ。
すでに、私では数々の実験・実証をしてきたが、世間の人は「ホームベーカリーでパンなんて平時の話だ」と思い込んでいる。じゃあ、乾パンでがまんする?毎日の生活だよ。災害時でもソーラーとバッテリーがあれば電子レンジの長時間稼働はムリだけど、こうしたホームベーカリーで低電力な機種であれば稼働できるのだ。パナソニック、シロカ、旧三洋のGOPANなどの検討・検証した結果、意外と優秀だったのがエムケー精工のホームベーカリーである。
■どの機種がいいか
パナソニックなど世間のたいていの機種は「オートモード」しかない。つまり、小麦粉など材料を入れてコースを決めたらその通りしかできないのだ。
ところが、災害時・サバイバルでは「最低限の材料だけでそこそこおいしいパンを焼く」という過酷な条件で運用することを目指している。
通常、パナソニックなどのホームベーカリーでは「ドライイースト」によって焼くことが多い。だが、ドライイーストは常に購入しないといけないので、消耗したら、災害時スーパーも壊滅して手に入らない可能性がある。その時、いいのが「自作天然酵母」でパンを焼き続けることだ。そうすれば、あとは、小麦粉のストック、塩と、砂糖、水さえあれば酵母を増やしながら、普通においしい焼き立てパンが得られる。
その時、自作天然酵母では最低でも6時間、下手すると12時間近い発酵が必要なのだが、パナソニックなどのベーカリーでは「自動的に短時間で発酵終了」してしまう。これでは膨らまない。なので「各工程を分解して自分が好きな時間で動かせる」マシンがベストになる。つまり「焼く」だけ単体でやれる……それができるのがエムケー精工の機種である。
さらに、消費電力も大事だ。エムケー精工はシロカより低い(410W程度)※旧機種は380W程度だった……ので、実際に実験の結果、ソーラーとバッテリーでこねから1日8時間以上発酵させて焼いてもエムケー精工の機種なら動作した。
大きさも小さいので、車中泊車に搭載した場合も助かる。ということで、車中泊しながらパンを焼いたり、災害時、サバイバルで自作天然酵母を使ってパンを焼く人にはエムケー精工の機種をおすすめする。なお、以前の機種は天然酵母元種発酵時間で長時間やれたが、この機種からはなくなっている。
対策としては自作酵母と粉、砂糖、塩、水を入れて、こねだけメニューでやり、その後ヨーグルト発酵モード(8時間)を使って発酵させて膨らんでから「焼き」だけで45分ぐらい焼けばうまく焼ける。
うちでは、現在エムケー精工の機種を3台導入して、災害時に備えている。