ソーラーとバッテリーばかりやってて、まだやるべき技術要素がいっぱいあるんだ。
バイオトイレもそう。最近自作する人も出てきた。
災害時、トイレはまったなしになる。男性は小便は立小便でしのげるが。
女性はそうはいかない。家族に女性がいたらトイレ問題は想像を絶する深刻な問題となる。
「きれいで、プライバシーが確保され、可能ならにおわない、家と変わらないトイレ」……あるわけない……と思うしかないのか?
■災害時のトイレ イメージトレーニング
1.地震発生
停電と断水。この場合、自宅のトイレは下水管が壊れていなければ使える。短期間だが。でも、停電と断水だとたちまちダメになる。
停電→ウォシュレット、マンションなどは水道タンクのポンプの組み上げが止まるので使い終わった時点で水は出ない。
断水→最初の1回だけのトイレは使えるが、以後は水が出ない。流せない。
■ここで必要なのは
「大量のトイレ流し水」である。これは、誰でも用意できる。お風呂、タンクを用意してそこに常時水をためておく。
水洗トイレ1回で流す水は4~6リットル。ひとり1日3回と限定しても12~18リットルもいる。4人暮らしだと軽く1日50リットルいるわけだ。
標準的なバスタブの貯水量は100リットル程度。つまり4リットルとして25回分。1人なら8日分あるが、2人、3人だと……2分の1,3分の1になる。4人家族だとバスタブの水は2日分にしかならない。
大量に安価で手軽に比較的安全に水をためる方法は、子供用のビニールプール
この大きさだと440リットルも貯められる。風呂桶の4倍。1人なら1か月分のトイレ用水・生活用水をもてる。
この水をバケツで便器に流し込めば「流すことができる」TOTOに確認したところ家庭用の便器は「災害時便器に直接水を注げば、流せる」ように作ってあるとのこと。「タンクをあけて水を入れないでほしい」……中の機構をうっかり触って壊す可能性があるためだそうだ。
2.お店・避難所のトイレをめざす
さて、用意がない人、安易な思考の人は「そのために避難所がある」「駅や公共施設を使えばいい」と思う……でも、「そう考える人はあなただけではない」ことに気づかないと。
行ったら「すでに行列」「待っている間に水が切れた」「死ぬ思いで待ったのにトイレットペーパーがない」「便器や床にウンチが散乱していて使えたものでない」
という恐怖が待っている。
トイレ待ちで1時間とかアホみたいなことが起きているようだ。
最低限でも、災害時は「ポケットティッシュ」は肌身離さず持っていないといけない。
しかも、公共施設やコンビニトイレがずっと使えるか……怪しい。ダメだと思っておいた方がいい。特に大量の住人が殺到する避難所や役所などは……「トイレが使えないので、校庭に穴を掘ってトイレ代わり」にすることが想定される。阪神大震災ではそうなった。すでに「きれいで、プライバシーが確保され、可能ならにおわない、家と変わらないトイレ」…はない。
そのため、女性は「トイレがまん」が増える。結果として「腹痛」「顔が青ざめ」別の原因で……体調を崩して……救急車も病院もなく……「糞死」することになる。
避難所のトイレは……多種多様な人たちの利用で糞尿の細菌とウイルスの感染源となる。最悪の場所になる。トイレに行くだけで「何らかの病気に感染する」リスクが高い。
3.だから「マイトイレ」が絶対必要
こういうことなので、たかがトイレ、当たり前の日常生活の断絶は……死に直結するのだ。私が口酸っぱく「バイオトイレ」と言っている意味が……わかるだろうか。
「おまる」の消臭剤や凝固剤トイレ……何回分……用意できるんだろうか?重たい。1日3回として大便は1回としても1か月で1人30から90パックもいることになる。
4人家族では120パックから360パック¨¨とてつもない量になり、災害時、平時の備蓄としても大変なことになる。
でも、1カ月で収束するかも……怪しいのが次回の大地震だ。半年、1年かかると思っていないといけない。すると¨¨そういう一時的なトイレではダメである。
ほぼ永続的に自分で糞尿を処理していく「自己完結型」のトイレを保持する必要がある。
4.バイオトイレの必要性
そこで、バイオトイレとなる。日本でも20年以上前からあるのだが、建築基準法がタコなので、自宅に設置するのが困難だった。家におけるトイレは「水洗」「下水道接続」が義務付けられており、バイオトイレ自体の定義がなかったからである。
最近は若干緩和されたようだが、それでも新築時に最初からバイオトイレを常備する家庭はほとんどないと思う。
でも、「ポータブル」であるなら、自分で保持できる。なのでその範囲でバイオトイレを考えて買う、自作することは必要だ。こうしたものもあるようだ。
5.バイオトイレの理論
さて、バイオトイレのネタをやるので、せっかくだから「生物浄化システム」を理解しておこう。
実は、バイオトイレ自体は……難しいわけではないのだ。以下、理論的なポイントを示す。
1.野グソは何カ月で自然界で分解されるか?
あなたが、その辺の山林で野グソをしたとする。そのウンチは放置でどれだけで分解されるか?→研究者の実験では「2カ月」で自然界で見えないレベルに分解される。
2.ウンチは自然界でどうなるのか?
ウンチの組成は「人間や動物が食べた動植物の繊維など」が主である。これらは純粋に自然界の動植物の「えさ」になるのである。また腸内細菌などの細菌類・人間や動物が感染したウイルスなども含まれている。
たとえば、コイなどの魚は「ウンチを食べる」あと、有名なのは「クロダイ」であり、クロダイ釣りには「こやしをまき散らしてまきエサ」にして江戸時代は魚釣りをしていたぐらいである。人間が鼻をつまむウンチのにおいは、魚たちには「美味しいにおい」となる。
つまり、クロダイでなく「クソダイ」……だが、クロダイは高級魚なのである。
さらに、線虫や、ミミズ、その他の虫の「エサ」にもなる。なので「においさえなければ」「自然界に分解させる」のでまったく合理的で永続的にエコなのだ。
3.おしっこは自然界でどうなるのか?
おしっこは……実は「不衛生ではない」。信じられないが腎臓から尿として排出された時点の尿は「本来は細菌もない、無臭のアンモニア水」である。それが外界に排出された時点で化学反応を起こして「あのおしっこ臭いにおい」に変貌する。それだけである。逆におしっこが細菌やウイルスで汚染されていたら……その人は「感染症の病気」なのである。
あと「汲み取りトイレ」が臭くなるのは「尿と」「ウンチ」が混ざるからである。本来は尿については「ペットボトルなどで回収」してしまい、ウンチだけ好気発酵でバイオ処理するといい。するとにおいは大幅に減る。
尿はどうするの?そのまま畑にまくと「最高の液肥」になる。
4.水中のおしっこはどうなるの?
池や湖、川には魚や水生動物がいる。当然、おしっこは日常的に水中に放出されている。だが、見えないし、水と混ざってどうなっているか?
おしっこのアンモニアはそのままいられない。再度化学変化を起こして「亜硝酸性窒素」になる。この亜硝酸性窒素は、池や川の「藻」「バクテリア」によって吸収・分解されてしまう。つまり見えない微生物の「エサ」になっている。最終的にはこれすらも「硝酸性窒素」となって植物の栄養源になって消えていく。
つまり、おしっこは自然界に放出された場合100%きちんとリサイクルされる。人間がやたら下水としてためて濃縮するから……問題になるのだ。
じゃあ「おしっこをバンバン池や川にしていいのか?」多数の人間、動物がやったら……「ただの下水のドブ」になってしまう。どうしてか?「分解に時間がかかる」自然界での魚やどうぶつの尿は水中にまざって、植物の根に吸収される状態になるまで「2週間」ぐらい最低かかるのだ。その間に、追加でおしっこが大量に人間によって出して池にたまったら「分解が追い付かない」ので「臭いドブ」になる。
また池や川の底は「よどんで酸欠」になる。そうすると「嫌気発酵」が始まる。だから分解はするけど……硫黄臭や下水臭の池になってしまうのだ。
圧倒的多数の池や川に、少量のおしっこ¨¨なら気にすることなく分解されるが、度を過ぎたら……人工的にシステムをつくって制御しないと……いけない。
5.うんちやおしっこはどういう分解なの?
いわゆる自然界のこうした分解は「好気発酵」「嫌気発酵」にわかれる。好気発酵は「空気中の酸素を使うバクテリアによる分解」である。これを利用したのが「世間のバイオトイレ」である。おがくずに糞尿を吸わせて、おがくずの「多孔質」に生息する空気中のバクテリアの活動で分解させる。においが出ないのが好嫌発酵なので可能ならこちらで処理する方がいい。
対する嫌気発酵は、人間の腸内、汲み取りタンクをイメージしてほしい。日光があたらず空気も酸欠状態のよどんだところである。こうした場所では嫌気バクテリアによって汚物は分解されていく。ただ「強烈なにおい」が出る。人間のオナラはそういうガスである。
なので、バイオトイレや生ごみ処理機を自作する場合は「好気発酵」による分解作用を利用したほうがいいに決まっている。
バイオトイレでは好気発酵を促進するために「強制的に酸素を供給」する。そのため電力でファンを回したり「かくはん」をしている。しないと酸欠状態になり「においが出る嫌気発酵」になってしまうからである。
また、自然界では「好気発酵のバクテリア」「嫌気発酵のバクテリア」同士でケンカ、勢力争いが起きている。だから放置だけでしていると片方に菌相が傾いてしまうのでこのバランスを調整する介入も必要だということである。
6.バイオトイレは「たい肥」をつくるのと基本は一緒
農家では、落ち葉や伐採した葉などを積み上げて「たい肥」をつくる。上にビニールシートを覆っておくだけで「虫やバクテリア」による分解で、数カ月でたい肥となる。
カブトムシの幼虫は「たい肥にいる」「たい肥の中で、腐った落ち葉などを食べて肥大化する」
なので、まさに「エコ」である。
投入する落ち葉を、ウンチやおしっこに置き換えるだけなので、実はバイオトイレはたい肥作りと変わらない。
たい肥作りの場合、バクテリアの活動は「60度~70度近く」まで高温になる。そのため、たい肥からは「湯気」が出る。下手すると発火する。
この高温によって細菌やウイルスは死滅したりする。だから完熟したたい肥は「人体にも無害」な物質になっている。臭くもなく元のウンチやおしっこと違って汚くもなくなる。
そして、野菜や園芸の肥料となる。
7.バイオトイレとたい肥作りの違い
そこでバイオトイレが難しいと言われるのは「リグニン分解」が課題としてあるからである。リグニンって何?「木の繊維」すなわち「紙」である。そう、チリ紙の分解がバイオトイレはできない。紙のパルプ繊維は自然界のバクテリアではほとんど分解できない……それぐらい強い構造なのである。
木や紙の成分の「リグニン」を分解できるのは、自然界では「キノコ」「菌糸類」だけである。なのでバイオトイレで分解できないチリ紙の成分は「キノコ作り」で処理するという手もある(笑)
放置された倒木や丸太にキノコが生える……するとキノコの菌糸は木のリグニンを溶かして栄養にして育つ。そして木はボロボロになっていく。
だからマツタケは松の木の周りににょきっと出てくる。逆にキノコが生える木は「腐る」ということである。
それで、実は「バイオトイレ」「生ごみ処理機」「たい肥製造」は本質が同じなので、同じシステムでできることになる。「におい処理」だけが問題となる。
なので、バイオトイレには料理の生ごみを投入することもできる。
私が作りたいのは「世間の水洗トイレと見た目も使い勝手も変わらないが」「その先はバイオトイレ」みたいなシステムである。
もし、読者でチャレンジできる人がいたらやってみてほしい。そうすれば、一戸建てやマンションでも使え、都市生活やオシャレな住空間を希望する多くの人にも受け入れられる。
将来、TOTOのトイレを選んだら普通にバイオトイレで、においも、清潔感も変わらない……そういう未来がくることを祈っている。