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驚異の地震予測「内海メソッド」とは何か? 第1回「J1」メソッドを開発するまで

《連載》内海メソッドとは何か?

 第1回「J1」メソッドを開発するまで

 

 武田 宙大

地震分析研究会 代表

 

 私は、もともとITエンジニアです。ですので、地震予測はまったくの門外漢でした。1998年三宅島の群発地震が連日起きていたとき、公表されている気象庁地震データを自分なりにデータベースなどで分析していたら「ある傾向」に気づいたのが、地震予測メソッドを開発するきっかけとなりました。

 

地震予測の3原則

 

 地震予測で大事な要素は日時「いつ」位置「どこで」規模「どれぐらいの大きさ」の3つです。

しかし、当時、私が知っていた科学者や民間研究者の予測法は「大地震30年以内に70%の確率で起きる」……といったものがほとんどで「いつ」「どこで」は無理でした。また、「いつ」がわかっても「どこ」を確定することができませんでした。

私が研究を始めた当時、知っていた予測法は科学的なものからオカルト的なものまでさまざまでした。

 

表1 地震予測研究の状況(2005年6月時点)

ジャンル

氏名

期間

範囲

位置

規模

手法

名称・所属

気象

岩瀬 浩太

×

×

宏観情報・他予測分析

東海アマチュア無線地震予知研究会

気象

大森 晃

×

気象情報分析

アキラの地震予報

大気イオン

弘原海 清

×

×

×

×

大気イオン濃度・宏観情報分析

岡山理科大学PISCONPO

電磁波

串田 嘉男

×

×

×

×

VLF電磁波

八ヶ岳南麓天文台

電磁波

上田 誠也

×

×

×

×

×

×

SES電磁波

東海大学地震予知研究センター

電磁波

行徳高校

×

×

×

×

×

×

VHF電磁波

行徳高校自然科学部

地殻変動

阿部 勝征

×

×

×

×

×

×

地殻活動シミュレーション

東京大学地震研究所・他国立大学

統計

武田 文秀

×

×

発生地震データ分析

TEC21

統計

待夢

発生地震データ分析

 

霊能力

山本 隆雄

霊能者の予言

日本霊能者連盟

超能力

エド・デームズ

遠隔透視

サイ・テック社

 

地震発生に周期性やパターンはあるのか

 テレビで地震学者らが、持ち出すのが「過去の地震記録からの未来の予測」です。「関東大震災から70年以上経過したからそろそろ、東海大地震だ」……という言い方です。でも、「では、いつ?」とは誰もいえないのが現状です。そもそも、関東大震災は繰り返すのか?というところもあいまいです。

 

関東地方の過去の大地震一覧を見てみましょう。

 

表2 関東の過去の大地震

年号

緯度

経度

M

地区

818

弘仁

9

35.5

139.3

関東諸国

841

承和

8

35.1

138.9

7

伊豆

878

11

1

元慶

2

35.5

139.3

7.4

関東諸国

1096

12

17

永長

1

34

137.8

88.5

畿内東海道

1241

5

22

仁治

2

34.9

139.5

7

鎌倉

1257

10

9

正嘉

1

35.2

139.5

77.5

関東南部

1293

5

27

永仁

1

34.9

139.5

7

鎌倉

1433

11

7

永享

5

34.9

139.5

7

相模

1498

9

20

明応

7

34

138

8.28.4

東海道全般

1605

2

3

慶長

9

33.5

138.5

7.9

東海・南海・西海諸道

1633

3

1

寛永

10

35.2

139.2

7

相模・駿河・伊豆

1648

6

13

慶安

1

35.2

139.2

7

相模・江戸

1649

7

30

慶安

2

35.8

139.5

7

武蔵・下野

1703

12

31

元禄

16

34.7

139.8

7.98.2

江戸・関東諸国

1782

8

23

天明

2

35.4

139.1

7

相模・武蔵・甲斐

1854

12

23

安政

1

34

137.8

8.4

東海・東山・南海諸道

1894

6

20

明治

27

35.7

139.8

7

東京湾北部

1895

1

18

明治

28

36.1

140.4

7.2

霞ヶ浦付近

1909

3

13

明治

42

34.5

141.5

6.7

房総沖

1921

12

8

大正

10

36

140.2

7

茨城県南部

1923

9

1

大正

12

35.1

139.5

7.9

関東南部

1924

1

15

大正

13

35.5

139.2

7.3

丹沢山

1930

11

26

昭和

5

35.1

139.1

7.3

伊豆北部

1944

12

7

昭和

19

33.8

136.6

7.9

東海道

1953

11

26

昭和

28

34

141.7

7.4

房総半島沖

1972

2

29

昭和

47

33.2

141.3

7.1

八丈島近海

1972

12

4

昭和

47

33.2

141.1

7.2

八丈島近海

1978

1

14

昭和

53

34.8

139.3

7

伊豆大島近海

 

図1 関東の過去の大地震の月別発生回数(818年から1978年まで)

回数

1

1

2

2

3

2

4

0

5

2

6

2

7

1

8

1

9

2

10

1

11

4

12

6

この表を分析すると次のようなグラフが得られます。

グラフ「関東地方の過去の大地震が起きた月別回数」

f:id:u23news:20210412111708p:plain

すると、大地震はどうも年間を通して「起きやすい時期」があるということはわかります。11月と12月です。ただ、阪神大震災東日本大震災が1月、3月に起きたことを考えると、過去のパターンを単純に分析しても予測にはあまり使えないこともわかります。

 

2000年の三宅島群発地震を分析してわかったこと

 在野の研究者の間では「地震は月の運動と関係がある」という意見が、ときおり見受けられました。しかし、地震学者らは因果関係について否定的でした。

2000年の三宅島の群発地震はM6クラスが何度も起きました。私は7月の地震発生と月の運動が関連するか見てみました。その結果が次の表です。

表3 2000年三宅島群発地震と月の運動の関係

経度34.2N 緯度139.4E 宮宅島近海 付近震源2000年7月のM6以上の地震発生状況

日付

曜日

規模(M)

月の運動位置

71

6.4

 

72

 

新月・N・P

73

 

 

74

 

 

75

 

 

76

 

 

77

 

 

78

 

上弦・E

79

6.0

 

710

 

 

711

 

 

712

 

 

713

 

 

714

 

 

715

6.2

716

 

満月・A

717

 

 

718

 

 

719

 

 

720

 

 

721

 

 

722

 

 

723

 

724

 

下弦

725

 

 

726

 

 

727

 

 

728

 

 

729

 

730

6.2

731

 

新月

月の運動位置

  1. 新月(【朔】さく)

  2. 上弦

  3. 満月(【望】ぼう)

  4. 下弦

  5. S(最南)

  6. E(赤道通過)

  7. N(最北)

  8. P(最近)

  9. A(最遠)


M6以上の大きな地震は、月の移動の前後で起きていました。民間研究者の見立ては「満月」「新月」の地球への引力が地震発生のトリガーになるというものでした。

しかし、当時の地震学者や地球物理学者らは地球の地殻変動が影響を受けるほど月の引力は大きくないという結論でした。そのため月の引力を地震原因とする意見には否定的でした。

しかし、実際は満月や新月だけでなく、それ以外の月の運動も地震発生に大きく関わっている可能性がこの分析から示唆されました。

それで、特にS,N,P,Aを重要視して私は「発生日」を予測するメドをつけました。しかもデータは理科年表から公式に得られるもので科学的にも正確です。それでこれを私は「J1」メソッドと名づけました。(つづく)