中古住宅を選ぶ場合「落としてはならない注意ポイント」を簡単に伝授します。
■1.家の価値は屋根と土台ですべて決まる
みなさん、家って、内見の際つい「お風呂やトイレ、台所」とか「壁や天井のきれいさ」とかしか観ないと思います。素人ほど「見た目の内装」でひっかかります。
中古住宅を選ぶ際一番大事なのは、そんなところでなく「屋根の傷み具合」「土台の傷み具合」この2点が一番大事です。
実はあなたがこだわりそうな「お風呂やトイレ、台所」「壁や天井のきれいさ」はリフォームでいくらでもきれいにできます。でも、建築家やプロでないとやれない「屋根」「土台」がダメだと、どんなに見てくれがよくても「アウト」なのです。
たとえば、屋根の場合
(1)材質(スレート、瓦、ガルバリウム鋼板、セメント瓦……)のような部分。
(2)軒下の壊れ方
(3)家の屋根が上にある部屋の「雨漏り度合い」
たとえば、セメント瓦の家の場合、素焼きの瓦より耐久性は意外と落ちることがわかっています。30年が限界で、そうしたら塗装をしていないと水が漏れてきます。屋根の材質の種類がどんなものがあるか?いいかは?以下のサイトをご覧ください。
屋根の軒裏(軒天)の板を見て「シミ」「破損」があったら、直さないといけません。
軒裏(軒天)とは? | 大阪の屋根工事なら街の屋根やさん大阪吹田店
それは、屋根の雨漏りを予言しているからです。でも、高所作業で足場がいります。つまり数十万円~100万円クラスの工事になるのです。
だから、その費用があとで襲うから屋根の壊れた家は、特に2F建て住宅は職人でないとできないので、買うのが楽でもあとで困ることになります。
建築オーナー側の動画で有名な「楽待」の大川建築士の「欠陥住宅の見極め方」「メンテナスがヤバい建物」の見方は大変役立ちます。彼の動画全部見ておくといいです。
■2.土台をみること
家の土台、そうですね、地面と家がどう「つながっているか」
(A)昭和の中古住宅は、土地の上に「布基礎」といって、コンクリートの壁をつくってその上に木の家を載せてあります。
※今はさらに土の上にコンクリートを流し込んで土が出ないようにしています。
(B)古民家ですと、地面をつきかため、その上に大きな石を置きその上に柱を置いています。
(C)新しい家だと、地面に丸ごとコンクリートを流し込んで「コンクリートの箱」を作ってその上に家を載せています。「ベタ基礎」といいます。
この3つの中で一番いいのはどれだか?わかりますか?
それは、なんと(B)の古来からの建築技法の土台です。石場立といいます。
法隆寺はこうして何百年も持っています。日本の古い寺院・神社ほどこうやって建てられているのは、だてではありません。きわめて科学的にトータルで優れているからです。
■「土台は固定すると実はよくない」
平安京なり、古代からの建築を私は「先輩」として学びました。
それと、現代の建築技法と対比をしました。
すると、わかることがありました。
古代の建築家は「自然の力をうまく利用する」のです。
まず、古代の建築家は、地面を「固い、水はけのいい場所」を選んで、そこをある程度平らにします。
次に、大きな丸太を村人が総出で、高い所からロープで落として「重力」「打撃力」でその土の柱を立てる部分を「突き固め」ます。
こうすることで、地盤はしまります。これをしないと、現代の工法は「ローラー」「ランマー」で一時的にたたいて平らにしたり、固めたとするのですが、実際はダメです。
もっとも、地面を締め固めるのにいいのは「突起物で狭いポイントを高密度で圧縮する」「突き固め」です。
こうして、固まった地面の上に、礎石として「大きな平たい石」を載せます。これによって土台の安定性は抜群に違います。
そこに、家の構造を支える「太い柱」を建てます。でも「ネジや釘で固定しない」のです。置くだけです。
なぜですか?
私の知人が大阪で江戸からの歴史ある寺の住職をしています。大変立派な作りです。大きな本堂が、阪神大震災などで大阪でも揺れたわけですが、倒壊しません。
「大きな地震が来ると、寺の本堂ごと「ずれる」だけで、壊れない」
そう、あなたは、机をたたいて「紙相撲」とかしたことありますか?紙の人形をテーブルに置いて、手でたたくと振動で人形が動きます。
それと同じで、重たい本堂の建物はもし土台に「接着やネジ止め」で強固に固定されたら、揺れたときにしならず、そのまま「ポキン」と折れて倒壊してしまうのです。
でも、古代の人は、数々の災害、地震を経験してきて「自然に歯向かうのでなく」「自然と柔和して一体になることで」「大きな災害をよける」技術を身に着けてきました。
なので、土台と建物は「おいてある」だけなのです。
この建築技法は「建物ごと台車で移動できる」というすごい便利さもあり、移築や、修繕もしやすい。
なんとも、よく考えられていたわけです。
なので、古民家で「太い柱」「太い梁」それは、今の建築基準法での大工さんは手抜きする(コストが安い)ため、家の柱は10㎝なのですが、古民家では10㎝以上のぶっとい木を使っていることがあります。うらやましいです。
そういう柱が、礎石に載った、神社仏閣に近い作りの家は「理想的」なのです。
でも、現代においては、こういう作り方は建築基準法で認められないです。
結果として「ベタ基礎」にされます。
■布基礎の問題
それで、昭和に流行った「布基礎」は何が問題か?まず、地面が露出しています。
ですので、浸水がある、周囲の雨水が浸透して「蒸気」を出すことになります。
当然上にある家は「腐り」「カビ」「白アリがつきやすく」なります。
シロアリを防ぐには「乾燥している土台」がいいわけです。
そのため、土台には「空気穴」網や格子があると思います。
ここをみて下さい。ヒビが入っていませんか?
入っていたら、その入り具合で「運命」が分かれます。
「ヒビがかなりいっている」場合は、土台が壊れかかっています。
軽い程度、浅いなら、補修は必要ですが「まだいけます」
土台がいかれた家は……傾く、倒壊する……恐ろしい末路が襲います。
家の土台の通風を良くしたければ、この開口部を多数開けたいのですがそうすると、基礎の強度が下がります。なので、最低限しか開けられません。でも開けた部分は、2トン以上の重さの家を支えているので、長い間に圧力、重力、伸び縮み、あらゆる方向に引っ張られるうちに割れてくるわけです。
なので、中古住宅を見て「土台」を見る。四方から観察する。
写真をとる。結果として「ひび」「欠け」「割れ」が出ていたら……建築士にも見てもらい、補修で済むか?ヤバいか?判定したもらった方がいいです。
もちろん、土台を直す費用は……数十万円~数百万円いきます。
家の費用と別にです。
わかりました?たったこれが……ヤバい家をつかまされるかの、運命の分かれ道だということです。
■ベタ基礎がいい?はず?でも
今では、土地を支持層まで掘り下げて固い土地にしたうえで「コンクリートを流し込んで鉄筋で覆い」「箱」にして、その上に家を置くベタ基礎が主流です。
でも、これにも問題があります。ひとつは「コンクリートが乾かない」ことです。
溶かしたコンクリートは、数日、1週間ほどで見た目は乾きますが、根本的には乾いていません。コンクリートはもともと石灰です。石灰というと、ギリシャやイタリアの建築では石灰岩が多用されています。
でも、あの自然界の石灰は数千年、数万年で乾いていますが、人工のコンクリートはセメントをドロドロに水で溶いて、乾かします。コンクリートは石灰と水のアルカリ反応で熱を出しながら固まります。なので水は必要なのです。
さて、一見、1週間もすればコンクリートは乾き、だいじょうぶかと思いますね?
でも、中では、コンクリートはまだ完全に乾いておらず、徐々に乾いていくしかなく、その間に雨が降れば、雨水はコンクリートに染み込んでいきます。
こうして、実は戦後の多数つくられたコンクリート建造物は「不完全に乾いていく」ため、中の鉄筋をサビさせ、それが膨張して鉄筋を破断させるようになりました。
特に、昭和の建築は「手抜きが横行」しているため、コンクリートも促成でつくられ、砂も塩分が多い海の砂浜の砂を使うという……ずさんな工事が横行しました。なので、なおさら鉄筋がさびるわけです。
こうして「コンクリート建築は100年以上もつ」は「ウソ」だと最近わかってきました。
理論上はポルトランドセメントが完全に乾くためには100年近くかかるそうです。
それでは、たいていのコンクリート建築は想定よりもたないということです。
そういうことで、このページでは屋根に「セメント瓦」が出ていたと思いますが、セメントで作った瓦は、粘土を焼いて作った瓦より「耐久性があるようでない」のです。
30年もしないで、水がセメント部分に染み込んで膨張と伸縮を繰り返し割れてきます。
結果として水がしみとおり、屋根の野地板を水で侵し出します。
これをふせぐためには、セメント瓦には定期的に塗料を塗って、皮膜で防水するしかありません。面倒なだけです。
素焼きの瓦がいかに強いか?わかったと思います。だてに瓦ではないです。
また、江戸までの建築家は家の屋根瓦は「揺れたら落ちる」ように組んでいました。
2016年の熊本地震で熊本城の屋根が全部落ちました。欠陥工事ではなく「最初からそういう設計にしてある」「重たい瓦を振り落とすことで建物を倒壊させない」という大工らの知恵なのです。