武田学校

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災害時だからパンを焼くこれだけのメリット。カップラーメンがダメな理由

私のサバイバル準備は「近代都市文明が崩壊して、それでも生きていく」ことを前提に組まれている。

簡単にイメージしてもらうなら、映画の「AKIRA」「マッドマックス」「28日後」みたいな世界だね。

自給自足。なので、簡単に言うと「田舎の農家で暮らす」のが一番わかりやすい。

まだ間に合うので、お金や元気がある人は移住しておいてほしい。

自動車が運転できないと田舎はアウトなのでその辺注意してほしい。あと、高度医療は期待できないので大学病院や専門病院に通う人は十分、考えぬいて、病院を確実にしてからにしてほしい。無理はしないでほしい。

 

私は、ここ数年、ソーラーバッテリーや車中泊など、あらゆるシステム、技術要素の研究開発に取り組んできた。それは、サバイバビリティの大家である世界最強の米軍、自衛隊などを一般人レベルの「生活用品」などの駆使で同等以上のパフォーマンスを出すことを目指した。

私の編み出したノウハウのほとんどは100均、アマゾン、ホームセンターで誰でも購入できる。そのレベルに落とし込んだ。

コストも安い。

 

その中で、災害生活の日々で「パンを焼く」というスタイルを確立した。

ホームベーカリーでパンを焼くのだ。

え?災害時にパンを焼くなんて贅沢で、効率悪いのでは?

「災害食って、世間のレトルトや、カップラーメンとか、乾パンとか……」

って、政府も、その辺の防災専門家も「思い込んで」いる。

だめだな。

だいたい、そういう食べ物は「量がかさばる」「値段も高い」「食べ飽きる」「おいしくない」ことがほとんどだ。

 

カップラーメンが「非効率」な理由

読者も、災害準備としてカップラーメン、カップ焼きそばなどを買った人がいると思う。ま、俺からすれば「ダメだな」

なぜ?

1.カップラーメンは「大きい」。1人1か月分30個買ったら、置き場がない。車中泊のクルマに積むのも困難になってくる。2人、3人……どうなる?

コストも高い。1食200円以上するだろ?じゃダメだね。もっと安くしないと。

 

2.水を浪費する

カップラーメン1個をふやかすための水は400ミリリットルはいる。2人で2個で1リットル近くなる。毎日それで1食分しかまかなえない。災害時水は希少。最低限の水で食べられる食事のほうがいい

 

3.お湯と電力・火が大量に必要となる

1回400ミリリットル~1リットルを100度で沸かすため、電気ポットが1000W級であればソーラーバッテリーシステムにとって多大な電力消費となり使えない。いちいちたき火やコンロで火を沸かすのか?エネルギー効率が悪すぎるし、雨や台風の日車内や室内でやるのはかなり危険でリスキーだ。

 

■災害時に理想的で合理的な「ホームベーカリー」でのパン焼き

そこで、私が「長期間の生存で意外と便利なのはホームベーカリーでのパン焼き」だと気づいたのである。

それまで、私にとってホームベーカリーは「趣味の料理好きな人のパン焼きの道楽マシン」と思っていた。

だが、ホームベーカリーで1回のおいしい食パンを焼くために最低限、必要な要素は以下だけだった。

(1)小麦粉(強力・中力、最悪薄力)で280グラム~300グラム

(2)ドライイースト(4グラム)

(3)砂糖(5グラム)

(4)塩(4グラム)

(5)水(180ミリリットル以下)

(6)消費電力は360W~400W

気づいたと思うが、油が一切ない。このパンは実際に作るとわかるが「フランスパン」になる。フランスパンは油脂を使わず小麦粉だけのおいしさで食べるパンで、添加物がゼロなので健康にもいい。悪玉のショートニングも一切いらない。なのに「おいしい」のだ。

これで1斤のパン(4枚切りで3枚分)のパンが焼ける。4枚切り1枚食べると1食のカロリーとしては成人男子でも十分な量である。つまりお腹をちゃんと満たせる。

少し少なくてよければ4枚に切って、2人で2食分にすればタッパーで数日は常温で保存して食べ続けられる。2日に1回パンを焼けば運用できる。バッテリー消費も最低限にできる。

 

つまり電気バカ食いの1000W級の電気ポットを使わず、500Wの正弦波インバーターのソーラーバッテリーシステムで稼働した上、カップラーメン1杯の半分以下の水で2人分の食事を生み出せる。大きさも炊飯器が一回り大きくなった程度で、ホームベーカリーは車中泊でもうってつけのアイテムだ。

※ホームベーカリーを自動車バッテリーで動かすには40B19で2台並列がいるので注意。1台では焼き上げ最後まで動作しない。

さらに、ホームベーカリーは「料理のスキルがない人でも」「安全に簡単に」パンを発酵から焼くことができる。量を計って入れてスイッチオンだけ。超簡単。

しかも、すべての調理が「車内」「室内」で完結する。これは車中泊をした人間なら「すごくいい」話だと思う。

これなら、災害時の極限状態でも、安全、安心の品質で食料を得られる。

 

すごい「アイデア」だと思ったよ。我ながらに。

 

ドライイーストが災害時買えない

それでだ、ドライイーストは値段が高いし、長期間保存も意外とできない。そこで考えたのが天然酵母の自作」「酵母のエンドレス運用」だった。

実は、みなさんが高級パンと思っている「天然酵母パン」は、自作でめちゃ安で作れるものだ。

ドライイースト使わず、天然酵母を自作すればいい。天然酵母の自作はアホでもできる簡単さである。書いておく

1.リンゴの皮をむいて(食べない芯とかでもいい)1個分で十分。果肉の部分は食べればいい。使うのは皮とか廃棄する部分。これを水を入れた容器につけておく(ふたはしておく)常温に放置。温かい方がいい。水の量は中身が全部つかる程度。

リンゴのほかに、ブドウや、プレーンヨーグルト、飲みかけや廃棄前の古いビール程度で小麦と砂糖を濡らして置くだけでも、できる。レモンやオレンジなどの柑橘系は菌が作れないので注意。あと市販のドライイーストを培養してもいい(以下動画参照)

2.常温放置3日ぐらいで泡が出てくる。出てくるまで日数待つ。

3.泡が出てきていたら、上澄みの汁を、タッパーなどのふたつき容器に小麦粉10グラム、砂糖5グラムを入れてムースぐらいの濡れ具合でつけておく。常温で保管。残りは放置すると「お酒・アルコール」になるのでいらない。廃棄。

4.2日ぐらいで「ぶつぶつ」小麦粉が泡立っていたら、種として使える。

5.1回パン焼きに使う量は濡れた量あわせて「100グラム」ぐらい。スプーンなどですくって使う。

6.使ったら、容器は洗わずその中の残りの菌を使う。小麦粉10グラム、砂糖5グラム程度足して水でぬらして「やわらかく濡れた状態」にしたら、また常温で置いておけば菌が増え再度種が使えるようになる。

この繰り返しで半永久的に天然酵母は作り続けられる。動画にしてあるので見ると分かりやすい。市販のドライイーストを単純に培養してもつくれる。だから最初のパンを焼くときにドライイーストを一部残して培養してもいいわけだ。

 youtu.be

現在、自分はこのやり方で当初自作した酵母を絶やすことなく1年近くパンを自宅でドライイーストなしで焼いて食べている。強力粉を買ってローリングストックしている。かかるコストは小麦粉代ぐらいなので(砂糖も塩も微々たるもの)1斤で60円ぐらいなのだ。スーパーの食パンより安い。しかもおいしいし、添加物がない。貧乏人にとっても「健康にもふところにも」「すばらしい話」なのだ。

 

■自作天然酵母でのホームベーカリーのパンの焼き方のテクニック

それで、パナソニックのホームベーカリーはこの場合使い物にならない。注意を。

使えるのは、MK精工のホームベーカリー。シロカも対応しているが「焼きだけ別」が可能な機種でやらないといけない。あと、天然酵母の長時間(10時間以上)の生種発酵モードがついている機種だから、私が調べあげた機種の中ではサバイバル・車中泊用としてはMK精工のホームベーカリーを保有するのがベスト。 

中古で問題なし。ヤフオクで安いのを手に入れるのがコツ。MK精工は、「こね」「発酵」「焼き」を単独で実行できる。天然酵母長時間が発酵ができる機種はHBK-101Pが現行で該当する。

中古で買うなら「HBK-100」がベスト。うちでは2台購入している。この以下の1.5斤の機種でも長時間発酵は可能である。

 ■サバイバル時、天然酵母で日々、永久にパンを焼き続ける

手順としては

(1)ホームベーカリーの容器に小麦粉280グラム~300グラム、砂糖5グラム、塩4グラム、自作天然酵母100グラム(なければ50グラム以上)、水160ミリリットルを容器に入れてセットする。ただ入れるだけでよい。

(2) 「こね」でまずこねてもらう。この時の消費電力は60W程度。電力消費は気にならないレベル。

(3)10分ぐらいでこねあがる。次に天然酵母」モードにして「生種発酵」を実行する※発酵モードは使わないので注意……12時間以上の長時間ができない。

これで40度近い保温状態で最大24時間の生種発酵ができるが、この機能を利用してパン生地自体を長時間発酵させるのだ。放置でよい。10時間以上、長時間発酵をさせてもバッテリーの消費量はたいしたことない。

(4)早ければ12時間後、遅くても16時間後には「容器の半分以上」生地が盛り上がっている。

天然酵母パンは発酵時間がドライイースト(1~2時間程度)よりはるかに長い。16時間かかる。

でも、困らない。なぜなら前日仕込んで寝て起きてからパンを焼くだけにしておけば、ちゃんと朝食に間に合うわけだ。日々の運用で回避できる。

 (5)ふたを開けて中を確認。真ん中より上ぐらいまで膨らんでいたら成功。

※ダメな場合は天然酵母の量が少ないか、菌が弱い。失敗だが、復活できる。それはプラスして天然酵母を50グラム追加で入れる。あるいはヘルプでドライイーストを1スティック(4グラム程度)入れてあげる。その際生地が濡れていたら小麦粉を表面が軽く乾く程度に加えて再度こね・発酵をさせる。これで膨らめば捨てずに焼くことができ逃げることができる場合もある。

 「焼き」で40~50分焼く。この場合の消費電力は360W/hぐらいであり1時間もないのでバッテリー容量ギリギリで焼けてしまう。

(6)焼けたら熱いので「ミトン」「手袋」でつかんで容器を出す、パンを切るのはプラスチック包丁で十分。100均の子供用品である。ギザギザが荒い方が実は切りやすい。

 (7)切ったパンは、ふたつきタッパーで保存すればカビが生えない間は食べられる。数日だいじょうぶ。だから食べきる前に次のパンを焼けばよい。この時間があるので長時間発酵でも大丈夫なわけ。大きさは1700ミリリットルぐらいの薄型がいい。この手が便利。一度に 2枚保管できる。100均でそろう。

 これまで書いてきた内容を実際にやったこの動画を見てほしい。

(私の考案したノウハウがすべて詰まっています)

www.youtube.com

※このミーブ1号は、バッテリーが400Ah(4台)積んであるので余裕で動きます。

ちなみに、そもそも、バッテリー、インバーターやホームベーカリーは一般車両でも積める大きさなので、乗用車でもやれば運用できる。

 

■長期間での小麦粉の備蓄と天然酵母パン運用の考え方

サバイバル生存のためには、ホームベーカリーは同型機種を2台以上保有すると安心である。故障時など部品の使いまわしができる。中釜と羽根は機種固有なので同型機種のほうが使い回しできる点でメリット大。

小麦粉はスーパーやドラッグストアで入手できる1キロで半年ぐらいが賞味。小麦粉が玄米より弱いのは「あんまり長期間だとカビや虫がわく」ことである。カビても色が見えないし、小さいダニがわくらしいので、賞味期限で使い切るローリングストックが望ましい

もちろん、一番理想的なサバイバル体制は「小麦の栽培」「脱穀と精白」を自分でできる体制を確立することである。できたら、外界と断絶してもパンを永久に焼き続けることができる。砂糖と塩の備蓄も数キロあったら……相当な数のパンを焼き続けられる。

小麦粉1キロの袋で、パンや天然酵母を作り出す3斤分のパンが作れる。1斤のパンは大人1名の食パン3~4枚分となる。

水はペットボトル500ミリ1本で2回半は焼ける分あるわけだ。なので水の備蓄が多ければ気にならない。水を浪費するカップラーメンよりはるかに合理的だ。

1キロの小麦で大人1人の12食分をまかなえることになる。これはインスタントラーメンより小さいスペースで常温で半年保管できる点からすれば合理的。

1キロの小麦粉の袋のサイズはインスタントラーメン12個分よりはるかにコンパクトなことはイメージできるだろう。

しかも、使用する水の量は1回いいとこ180ミリリットルであり3回焼いても540ミリリットルなのだ。カップラーメン1杯分の水しか使わない。

どうだろうか?たいへん合理的、低コストで豊かな食生活を災害時でも可能にするということだ。

 

我ながらに素晴らしい発明だと思っている。

ぜひ、みなさんも装備して実際にパンを自作で焼き続ける体制を確立してほしい。